概説
放牧中のいきものがかりのヴォーカル・吉岡聖恵の初ソロアルバムである。
吉岡がソロヴォーカリストとして向き合い、リスペクトを込めて歌ったカヴァーアルバム。吉岡が改めて様々な名曲達と向き合い、ソロとして歌いたい楽曲を自ら選曲。いきものがかりとはまた一味違った、ソロヴォーカリスト・吉岡聖恵としての存在感を体感できる作品となっている。
サウンドプロデュース・編曲は、いきものがかり作品を多数手掛ける本間昭光・島田昌典が手掛けた。
島田昌典編曲作品では、いきものがかり1stシングル「SAKURA」でも使用された、ラディック製のタンバリンがレコーディングに使用されている(吉岡聖恵のInstagram より)。
紙幅の都合上、Copyright・Courtesyを別記する。
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楽曲一覧
- 少年[03:08]
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- Drums:河村"カースケ"智康
- E.Bass:安達貴史
- E. & A.Guitar:林部直樹
- Percussion:朝倉真司
- Saxophone:竹上良成
- Strings:室屋光一郎ストリングス
- E.Piano & All Other Instruments:本間昭光
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1998年9月18日に発売された、ゆずの2ndシングルのカヴァー。原曲の編曲が寺岡呼人・ゆずであるのに対し、この楽曲では本間昭光が編曲を務めた。原曲はアコースティックギター・タンバリン・ハーモニカが目立っており、元気溌剌の少年が浮かぶ陽気な楽曲となっている。一方この楽曲では、エレキピアノ・サックス・パーカッション・ストリングスが目立っており、吉岡の楽しげな歌声もあって、少女のような少年の姿を想像することができる。「今自分に出来る事をひたすらに流されずにやってみよう」と歌う、明るく優しいいたいけポップソングである。個人的には、竹上良成演奏のサックスが好きである。
- アイネクライネ[04:50]
作詞・作曲:米津玄師/編曲:島田昌典
- Sound Produced by 島田昌典(cube)
- Drums:坂田学
- E.Bass:森田晃平
- E. & A.Guitar:八橋義幸
- Percussion:坂井"Lambsy"秀彰
- Strings:真部裕ストリングス
- E. & A.Piano, Organ & All Other Instruments:島田昌典
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2014年4月23日に発売された、米津玄師の2ndアルバム収録曲のカヴァー。原曲の編曲が蔦谷好位置であるのに対し、この楽曲では島田昌典が編曲を務めた。原曲はドラム・ベース・ギターが映えるバンドサウンドで、力強く繊細な音色で大切な人と生きられる喜びを表現している。一方この楽曲は、ピアノやストリングス、吉岡の震える歌声が映える悲しげなサウンドとなっている。そのため、原曲を聴いていない状態で聴くと、失恋した女性の後悔を歌った楽曲のように聴こえる。同じ歌詞・旋律でも、音色と歌声で違う印象を受ける――そのように感じた、極めて興味深い楽曲である。個人的には、サビ・Cメロ終わりのピアノグリッサンドが好きである。
- 初恋[04:48]
作詞・作曲:村下孝蔵/編曲:本間昭光
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- E. & A.Guitar:林部直樹
- Strings:真部裕ストリングス
- A.Piano & All Other Instruments:本間昭光
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1983年2月25日に発売された、村下孝蔵の5thシングルのカヴァー。原曲の編曲が水谷公生、コーラスアレンジが町支寛二であるのに対し、この楽曲では本間昭光が編曲を務めた。ドラム・木琴・コーラスが映える原曲に対して、ピアノ・ギター・ストリングスが映える淡い音色となっている(若干暗い音色は、夕映えより日暮れを連想させる)。「好きだよ」と言えずに暖めた届かぬ思いを歌った、切ない片想いソングである。個人的には、音色がいきものがかりの「真夏のエレジー」のように聴こえた(両者共に本間氏が編曲を務めた)。
尚、この楽曲は、原曲と異なる構成となっている(原曲は1番Aメロの「五月雨は緑色」から始まるが、この楽曲ではサビの「好きだよと 言えずに 初恋は」から始まる。また、ラスサビが原曲では「放課後の校庭を走る君がいた」から始まるのに対し、この楽曲では「好きだよと 言えずに 初恋は」から始まっている。更に、原曲と違いフェードアウトせずに終わっている)。そのため、ブックレットには「※原曲から一部、歌詞の構成を変更しています。」という注意書きがある(歌詞構成の変更に伴い、曲時間も1分以上長くなっている)。
- 冷たい頬[04:03]
作詞・作曲:草野正宗/編曲:島田昌典
- Sound Produced by 島田昌典(cube)
- Drums:朝倉真司
- E.Bass:森田晃平
- E. & A.Guitar:八橋義幸
- Strings:室屋光一郎ストリングス
- E.Piano, Organ & All Other Instruments:島田昌典
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1998年3月18日に発売された、スピッツの18thシングルの1曲目のカヴァー。原曲の編曲がスピッツ・棚谷祐一であるのに対し、この楽曲では島田昌典が編曲を務めた。原曲は、サビでタンバリンが主張するバンドサウンドだが、この楽曲ではギターとストリングスが主張しており、原曲よりも優しい印象を抱くサウンドになっている。また、タンバリンは前奏から控えめに鳴っており、編曲作品でタンバリンを多用する島田氏らしさを感じることできる。手帖の隅で眠り続けるラブストーリーを描いた、シロツメクサのように可愛い楽曲である。個人的には、エレキシタールのような音を出すエレキギターが好きである。
- 500マイル[03:48]
作詞・作曲:HEDY WEST/日本語詞:忌野清志郎/編曲:島田昌典
- Sound Produced by 島田昌典(cube)
- Drums:坂田学
- E.Bass:森田晃平
- E. & A.Guitar:八橋義幸
- Strings:真部裕ストリングス
- E. & A.Piano, Organ & All Other Instruments:島田昌典
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1962年5月1日に発売された、ピーター・ポール&マリーの1stアルバム収録曲「500Miles」のカヴァー。細野晴臣・忌野清志郎・坂本冬美のユニット「HIS」がカヴァーしたヴァージョンのカヴァーとなっている(1991年7月19日に発売したアルバムに収録されている)。原曲の編曲がHISであるのに対し、この楽曲では島田昌典が編曲を務めた。
キーボード・ドラム・ストリングスが目立つ楽曲。クリックとアコースティックギター中心の原曲に比べて、優しさ・愛しさ・懐かしさを感じられる音色となっている。また、原曲では街を離れる悲しさが際立っているが、この楽曲では見知らぬ街への希望や期待も感じることができる。街を離れる主人公の悲喜こもごもを歌った、切なくも温かい楽曲である。個人的には、マーチングドラムを思わせるドラムと、前奏・間奏・後奏で流れるオルガンが好きである。また、曲全体の音色から、草花萌える野原を走る汽車の風景が浮かんだ。
- 糸[03:54]
作詞・作曲:中島みゆき/編曲:本間昭光
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- Drums:玉田豊夢
- E.Bass:安達貴史
- E. & A.Guitar:林部直樹
- Percussion:坂井"Lambsy"秀彰
- Strings:室屋光一郎ストリングス
- Horn:藤田乙比古・田島花林
- E. & A.Piano & All Other Instruments:本間昭光
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1998年2月4日に発売された、中島みゆきの35thシングルの2曲目のカヴァー。原曲の編曲が瀬尾一三であるのに対し、この楽曲では本間昭光が編曲を務めた。原曲にはないストリングスやホルンが挿入された、優しさを前面に押し出した楽曲。前奏のエレキピアノやパーカッションが特徴的で、糸が織りなす布の暖かさを感じることができる。原曲同様、逢うべき糸に出逢える仕合わせを描いた、幸福と慈愛に満ちた至高の楽曲である。尚、この楽曲は、本作発売前の2018年4月29日に、配信限定カヴァー・シングルとしてリリースされた。
- ヘイへイブギー[03:13]
作詞:藤浦洸/作曲:服部良一/編曲:本間昭光
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- Drums:あらきゆうこ
- E.Bass:安達貴史
- E.Guitar:林部直樹
- Percussion:坂井"Lambsy"秀彰
- Saxophone:竹上良成
- Trumpet:吉澤達彦
- Trombone:畠山拓也
- A,Piano, Organ & All Other Instruments:本間昭光
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「ブギの女王」として戦後を席巻した、笠置シヅ子の楽曲のカヴァー。原曲の編曲が服部良一であるのに対し、この楽曲では本間昭光が編曲を務めた。元々明るい楽曲だが、ホーン隊の3名による高らかな音色が、楽曲を更に明るくさせている。また、サビの「ヘーイ・ヘイ」の唱和はエレキギターに変更。原曲にはないグルーヴを新たに生み出している。士気が下がる現代社会を生きる人に聴かせたい、明朗快活・天真爛漫なポップソングである。個人的には、曲中の吉岡の高笑い(「ワッハッハッハッハッハッハ」等)が好きである。
- さらば恋人[03:23]
作詞:北山修/作曲:筒美京平/編曲:本間昭光
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- E. & A.Guitar:林部直樹
- Strings:真部裕ストリングス
- A.Piano, Organ & All Other Instruments:本間昭光
1971年5月1日に発売された、堺正章の1stシングルのカヴァー。原曲の編曲が筒美京平であるのに対し、この楽曲では本間昭光が編曲を務めた。原曲に準拠したサウンド(ティンパニーとタンバリンが目立たない程度)の楽曲で、恋人の「君」に別れを告げる「僕」の姿を描いている。原曲は、風の冷たさや別れの切なさを強く感じるが、この楽曲は吉岡の歌声もあってか、「君」を気遣う「僕」の優しさも感じることができる。ほぼ同じ音色でも、歌声で印象が変わってくる――そのように感じた、切ないバラードである。個人的には、サビ終わりのストリングスが、夜明けの街に吹く冷たい風のように聴こえた。
- 哀しい妖精[03:53]
作詞・作曲:Janis Ian/日本語詞:松本隆/編曲:島田昌典
- Sound Produced by 島田昌典(cube)
- Drums:朝倉真司
- E.Bass:森田晃平
- E. & A.Guitar:八橋義幸
- E. & A.Piano, Organ & All Other Instruments:島田昌典
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1976年9月1日に発売された、南沙織の20thシングルのカヴァー。原曲の編曲が萩田光雄であるのに対し、この楽曲では島田昌典が編曲を務めた。原曲はアコースティックギター中心の寂しいサウンドで、恋人のいない冬を過ごす主人公の胸中を、切なく哀しげに描いている。この楽曲も原曲同様、寂しさ・哀しさを感じるが、吉岡の歌声と温かい音色からは、頬を染めて恋人を待つ主人公の健気さも感じることができる。愛の旅路を彷徨う哀しい妖精の姿を描いた、切なくも温かい楽曲である。個人的には、間奏の一部フレーズが、関ジャニ∞の39thシングル「奇跡の人」の前奏の一部に似ていると思った(両者共に島田氏が編曲を務めた)。
- World In Union[04:44]
作詞:John Skarbek Charles/作曲:Gustav Holst/編曲:本間昭光
- Sound Produced by 本間昭光(bluesofa)
- Drums:村石雅行
- Snare & Floor Tom:村石雅行・坂井"Lambsy"秀彰・大場俊・田中匠郎
- E.Bass:種子田健
- E. & A.Guitar:林部直樹
- Percussion:坂井"Lambsy"秀彰
- Trumpet:中野勇介
- Strings:金原千恵子ストリングス
- A.Piano & All Other Instruments:本間昭光
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ラグビーワールドカップテーマ曲「ワールド・イン・ユニオン」のカヴァー(詳細はWikipedia 参照)。1991年の第2回イングランド大会でKiri Te Kawanaが歌唱したヴァージョンのカヴァーで、本間昭光が編曲を務めた。力強い高音の歌声と豪華な音色が魅力的な、原曲に引けを取らない堂々とした楽曲。ストンプを思わせるスネアやフロアタム、ファンファーレを彷彿とさせるトランペットが鳴っており、原曲とは違った豪華さを盛大に演出している。団結の世界・新たな時代の到来を感じさせる、壮大・豪快かつ繊細な楽曲である。
尚、この楽曲は、2019年開催の第9回日本大会のオフィシャルソングで、開幕戦当日の2019年9月20日に配信限定リリースされた。だが、開会式での歌唱は吉岡ではなく、NHK東京児童合唱団が行った。ラグビーワールドカップでは、開催国の出身歌手が歌うのが恒例であり、これはいわば異例のケースである。これについて組織委広報は、「ラグビー・世界を担う子供達に歌って欲しい」という思いの下、「子供達による大合唱」の演出スタイルを選択したと回答した(東スポWeb より)。
- 夢で逢えたら[03:51]
作詞・作曲:大瀧詠一/編曲:多羅尾伴内
- Strings Arranged by 山下達郎
- Drums:上原裕
- Bass:田中章弘
- Piano & Organ:井上鑑
- Guitar:村松邦男
- Chorus:シンガーズ・スリー
- Other:Unknown
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ミュージシャン・大瀧詠一の作詞・作曲楽曲のカヴァー。編曲を多羅尾伴内(大瀧詠一)が、弦編曲をシンガーソングライターの山下達郎が手掛けた。原曲は、大瀧のダンディーな歌声と間奏の台詞が特徴的で、「夢であなたに逢いたい」という男性の願望を歌っている。一方この楽曲は、吉岡の可愛い歌声と女声コーラスが特徴的で、「夢であなたに逢いたい」という女性の願望を歌っている。そよそよと吹く春風と微睡みの様子を描いた、和やかで穏やかな恋の歌である。
尚、この楽曲は、2018年3月21日発売のコンピレーションアルバム「EIICHI OHTAKI Song Book Ⅲ 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」(1976~2018)」に収録されている。それに先駆け、2018年2月28日に単曲で先行配信リリースされた。また、この楽曲のみリアレンジされておらず、1977年6月1日発売のシリア・ポール歌唱ヴァージョンのトラックが流用された(クレジットでは「Other:Unknown」と表記されているが、恐らくWikipedia に記載されている通りと思われる)。
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